私の好きな作家さんは山田詠美さん

私の好きな作家さんは、山田詠美さんです。

 

彼女の小説は女性が主人公で、ちょっと色っぽい恋愛模様を描いた作品が多いという印象を持っている方が多いかと思います。

 

もちろんそういった作品も多くあって、私も初めはそんな印象を持っていましたが「ぼくは勉強ができない」という作品に出会って見方が変わりました。

 

ぼくは勉強ができない改版 (新潮文庫) [ 山田詠美 ]

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感想(24件)

主人公こそ17歳の少年の物語ではありますが、そこは山田詠美の他の小説と同じく妙な色気のある世界。

 

年上のお姉さんと付き合っている主人公の男の子の普段の生活、またそんな関係の中で起こるちょっとしたトラブルに対して起こる葛藤、

 

それらを乗り越えて彼がどのように成長していくのかということが綴られた作品です。

 

淡々と進んでいく物語の中で高校生の彼がイライラしたり、ちょっと特殊な事情の家庭環境の中でひょうひょうと立ち回る姿が描かれているのを見ると、

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女性が主人公の物語ではないのですが独特の質感の文体、ストーリーの展開で今までと違った山田詠美像というものが私の中に浮かんできたのです。

 

それまでは、ごくごくシンプルに恋愛模様を通して女性の心情が揺れ動く模様を描くのが得意な作家さんなのかと思っていましたが、

 

それだけでなく単純に人が悩みに向き合ったり、物憂げに日常的な生活を送っている様を表現するというという点が彼女の作品の特徴なのかなと思います。

 

そういった観点からこの「ぼくは勉強ができない」を読み解くと妙に納得できる点が多いのです。

 

主人公が悩む姿がいちいち女々しく描写されるせいでしょうか、それとも悩みの原因が妙に大人びていてひねくれているからでしょうか。

 

いずれにしても、高校生の男子ってこんなものかなぁという妙なリアリティや生々しさを感じるとともに、悩みの本質自体は女性も男性も対して変わらないような風景をしているのではないかなと思わされるのです。

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Posted by MIC