隆慶一郎の「影武者徳川家康」30年以上経っても色褪せない渾身の一作
私の大ファン作家は隆慶一郎(りゅう けいいちろう)さんです。
私が隆慶一郎さんを好きになったきっかけは、高校生の時。
大学受験を控えて多少神経質になっていたころ、勉強の息抜きに何か爽快な気分になれる小説を読みたいと思って、本屋で手に取ったのが「一夢庵漂流記」でした。
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これは戦国時代のかぶき者「前田慶次郎」の生きざまを描いた時代小説で、人生をいかにいきるべきか、という視点から大いに励まされたものです。
隆慶一郎さんの文体の特徴は、歯切れよくテンポがよいのと、作者の解説や思い入れが挿入されていることです。
これは、隆慶一郎が作家になる前に著名なシナリオライターとして活躍されていたことも関係が深いかと思われます。
この「一夢庵漂流記」は、のちに少年ジャンプで原哲夫さんの絵で「花の慶次」として連載されたことからも、広く愛された小説であるといえます。
また、この小説の中で前田慶次郎の生きざまを表すフレーズとして、
「世陽気で、坦々として、而も己を売らないことをと、我が魂の願ふことであつた!」
という中原中也さんの「寒い夜の自画像」が引用されており、ここから日本の近代詩への興味関心が拡がった、という意味でも大きな存在の作家です。
隆慶一郎が作家として活動していたのは10年足らずの短い期間でしたが、私のお気に入りの作品は、
「影武者徳川家康」
「吉原御免状」
「かくれさと苦界行」
「捨て童子松平忠輝」の小説と、
「時代小説の愉しみ」の随筆があります。
私が最初に読んだのは「一夢庵漂流記」ですが、隆慶一郎の渾身の一作としては、「影武者徳川家康」が一番のおすすめです。
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こちらも後になって1994年に少年ジャンプで原哲夫さんの漫画で連載されたものです。
徳川家康が関ヶ原の戦いで、影武者と入れ替わっていた、という仮説に基づく物語で、
一見荒唐無稽に思えながらも、圧倒的な展開力で読むものを夢中にさせるスケールの大きい小説です。
隆慶一郎全集は全19巻で刊行されていますので、ぜひ一度手に取って読んでいただけたら嬉しいです。
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