紙と鉛筆の恋路を邪魔する消しゴム
消しゴムって消してるっていうより実は「吸い取ってる」んですよね。それからちょっと意外だったのが消しゴムって1800年代頃にはすでに存在してたらしいです。
その時の原料はその名の通りゴムの木から出てくる「ゴム」を使っていました。ちなみに「ゴムの木」は昆虫などから自分の身を守るためにゴム(ラテックス)を排泄するんです。
なんていうんでしょうね、分泌液というか老廃物とでもいうんでしょうか。
そんなようなものです。
でも、その当時はまぁ字を書く人ってのが限られていましたし、ゴムの木がどこにでも生えていたわけでもないし、また加工する技術もなかったので簡単に手に入るものではなかったんですね。
また人によってはアレルギー反応を起こす人もいます。これを書いている僕もその一人でゴム製品が皮膚に触れていると、肌荒れを起こします。
スポンサーリンク消しゴムは紙と鉛筆を別れさせる
消しゴムというと鉛筆ですが、(最近はインク消しですかね。)鉛筆も正確にはあの鉄の塊のような硬い硬い「鉛」じゃなくて「黒鉛」っていうソフト~な薄い欠片が主な原料で、それにプラスして粘土を混ぜたものなんですよね。
英語では黒鉛は「グラファイト」といいます。
グラグラしながらでも戦うみたいですね。元素で言うと黒い色をした「炭素」の仲間。粘土の混ざり具合で鉛筆の芯の柔らかさが変わります。粘土が多ければ多いほど硬い鉛筆の芯になります。
そしてこのグラファイト、紙が大好きで触れた途端にしがみついて「離さないわっ」て感じで特に何か刺激がない限り、だいたい50年くらいは一緒に存在できるようです。
逆に言えば、紙、いわゆる繊維が鉛筆に執着して「逃がさないわっ」っていう態度を取ってるとも言えますね。あと紙の質によっては、50年も持たずにぽろぽろになるので鉛筆の運命は紙次第になることもあります。
さて消しゴムに話を戻すのですが、この消しゴムさんめっちゃ粘着性があるので紙から鉛筆グラファイトさんを吸い上げて、連れ去ってしまうんです。なんてことでしょう。まるで紙と鉛筆の恋路を邪魔しているかのようです。
このゴムの粘着性っていうのがミソで、鉛筆さんも抵抗出来ずにム二ョム二ョと巻かれて紙から離れていきます。そして捨てられる。あぁなんか悲しい結末になってしまいました。
ですが、これは物を書く人間にとってはとても好都合なことですね。
今は消しゴムもプラスチック
また最近の消しゴムと呼ばれるものはほとんどが石油を元に合成した「ポリ塩化ビニル」というもので作られていています。樹脂の一つですが、プラスチックパイプの原料としても利用されている成分です。なので「プラスチック消しゴム」なんて表記されている商品もありますね。
それから溶岩から出来た軽石も原料に含まれています。軽石が入ることで研磨する力が追加されて、こすり合わせることでゴムを成分としたものと同じような、グラファイト(黒鉛)を吸い取る現象を起こしてくれる、というわけです。
個人的にはたまに、消してるというより「削りはがしてる」みたいな感を覚えることもあります。なのであまり好きじゃありません。
一昔前はピンク色が当たり前だった消しゴム
あと欧米ではひと昔前、消しゴムは「ピンクパール」なんてあだ名で呼ばれていたこともありました。これは製造している会社が原料にピンク色の軽石を使っていた為です。色がついてた方が売り上げがよかったらしいです。
長いことピンクで定着していましたが、今では探そうと思えばどんな色の消しゴムでも手に入れることが出来ます。でも白が基本ですかね。
僕は若い頃、いろいろ恥ずかしい発言や体験をしてきたので消したい過去がたくさんあります。記憶の消しゴムもあったらいいのになぁと思う今日この頃ですが、まぁそんな都合のいいものがそうそう存在するわけないですよね。
参考サイト:
http://science.howstuffworks.com/inno…
http://www.brainpickings.org/2013/06/…
http://pubs.acs.org/cen/whatstuff/stu…