欠けた食器は縁起が悪いと言われてても実用性には勝てない 父親のジレンマ
欠けた茶碗や食器は縁起が悪いと言われますが、私の実家では平気で使っています。
しかし父親は頭が古いせいか、色んなことに縁起を持ち出してきます。病院に入院して退院する際も、
わざわざ縁起の良い日をカレンダーを見ながら、「『大安』『友引』はいつだ」なんて、医者ではなく、本人が「大安のこの日に退院する」と決めたほどです。
欠けた茶碗や食器についても同様で、食卓にかけた茶碗や食器が登場すると、かなり顔を赤くして「おい、なんだこれ、欠けてるぞ、縁起が悪いからさっさと捨てろ」と大声で怒鳴り散らします。
スポンサーリンク
母親は全く気にしておらず、いかにも「うるさいなー」という表情を隠しつつ、仕方なく交換しています。
実用性と縁起のジレンマ
父親にとっては、日常生活においての大事な縁起に関わる一大事のように思われますが、食器類が欠けるという事は一定の割合で起こります。
だから、ある程度は仕方のないことと主婦は思っているのではないでしょうか。そのせいか、父が使わない食器類は、平気で欠けたまま使っています。
ひどい時には、一度捨てようとして、どかされていた食器が堂々と復帰していることもあります(笑)
「この大きさで気に入ったのがなかなか見つけられなくてねー」なんて言い訳をしながら。
しかしながら、父親は一切欠けた食器を使わないかというとそうではありません。何事においても父親流のこだわりがあるらしく、
例えば、茶碗の角度とか大きさとか、何度も何度も買い直しても納得の逸品が見つからない場合には、欠けた食器を復活させています。
ひどい場合には、その欠けたものを何年にもわたり使用しています。あれほどの縁起担ぎにも実用性には勝てないようです。
本人は大真面目なのですが、母親や子供たちにとっては、滑稽なことです。
そういえば、子供の頃にままごとで使っていた食器は、実生活で欠けた食器類をテープでくっつけて使っていたような記憶があります。
これも一つの再利用方ですね。ちょっと子供には危ないですが。。
スポンサーリンク
思い入れのある食器は「金継ぎ」で蘇えらせる手段もある
どんなに種類があっても毎回使う食器ってだいたい決まってくるものです。
自分の手にしっくりくるもの、自分の食べる分量にちょうどいい食器や茶碗とかみんな自然に手にとるんじゃないでしょうか。
ある日母親が食器皿が真っ二つに割れちゃったんだけど、お気に入りのものでどうしても捨てられない、どこかで直してくれる人っていないの?
って聞いてきたのでネットで調べたことがあります。そこで見つけたのが「金継ぎ」という技術。興味が湧いてじっくり調べてみました。
金継ぎとは、「漆」(うるし)を粘着材にして、割れたりかけたりした陶器を修復する日本古来の技術。用途によって「漆」に小麦粉や木の粉を混ぜて練ったもの使用するようです。
「金」継ぎと一般に言われますが、金は仕上げの時の装飾で、「漆金継ぎ」と言った方が正確に伝わる名称ですが、
仕上がりが金で繋いでいるように見えるので、金継ぎという名前が定着したのでしょう。
美術館に収蔵されているような、高級な陶器に施される特別な技法と思われる方もいるかもしれませんが、
本来普段使いしている愛着のあるお茶碗や湯飲みを直して使い続けることは、日本人にとって普通のことだったようです。
傷ついたものを捨ててしまうのではなく、再生して蘇らせる…あらゆるものに神様が宿る、日本文化らしい発想ですよね。
また、ただ直すのではなく、ちょっとお化粧を施して前よりも華やかに見せることで傷さえも「生かす」素材にしてしまうのです。
金継ぎした後の食器は食洗機ではなく手洗いで
ただし、修復したものであって、「元通り」ではありません。食洗器や乾燥機の使用は避けて手洗い、更にやさしく扱ってあげる必要があります。
小さなひびやかけならば2,000円~3,000円ほどで直してくれる職人さんをネットでも見つけることが出来ます。
ネット受けしている川崎市の業者さん
![]() |
価格:2,200円 |
修理法として、漆の代わりに合成樹脂を使った「簡易金継ぎ」、本漆と合成樹脂を合わせて使用する「簡漆金継ぎ」、本漆のみを使った「本漆金継ぎ」と3種類あります。
本漆を使った伝統的な方法ならば、食器として使用するものの場合、天然素材であるという安心感がありますが、
値段は高くなり、漆を乾かすために1週間ほどかかるので時間もかかります。
当然、修復のサイズが大きくなるほど値段は高くなり、仕上がりの装飾にデザイン性を加えたいならば、さらに2~3割増しになります。
陶器だけでなく、ガラスや木製品なども技術があれば金継ぎできるのだそうです。
自分でやってみたいという人には「金継ぎ初心者キット」も販売されており、一通りの材料が揃って8,000円程から購入できます。
基本的な修復の方法を丁寧な写真付きで親切に解説してくれているホームページがいくつもあるので、繊細な作業が好きな方ならすぐに挑戦できると思います。
修復して再生する作業は、ゼロから何かを作り出すのとは、また違った喜びを感じることが出来そうです。