ナショナリズムと愛国心の違いは日本にいるとわかりづらい
ナショナリズムは形成されていくもの?
ナショナリズムは18世紀から19世紀のヨーロッパを主として、国民国家の独立運動が盛んな時期に、「自分たちの民族の自分たちの国を作ろう」とする運動が始まったのが始まりだと言えます。
大きくて強い国が、よその国を権力で抑え、支配しているときに、その支配を受けている国家あるいは民衆によりナショナリズムという民族意識が芽生える傾向があります。
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ナショナリズムのわかりやすい歴史でいうとドイツ統一がありましたね。
フランスでは国家を先にまとめることで、国民が形成されていく考えの中でナショナリズムの動きが活発になっていきましたが、ドイツの場合はその逆であるとよく言われます。
19世紀末のドイツの場合、各地方にバラバラに政治勢力が乱立している状態で、なおかつ隣国には強国のフランスやロシアなどその他外国が勢力を拡大させています。
そんな中、「バラバラになったドイツ国民を一つにまとめよう」という目的のもとに動きが活発的になったのがドイツのナショナリズムでした。
でも、この「国民一体性」の性質を使って民族の統一と他の民族の排除を促した人物がいました。それがナチ党のヒトラーです。
彼が行ったホロコーストは、ドイツ民族ではないドイツ国内に住んでいるユダヤ人の排除でした。
今の時代では考えられないことですが、当時のドイツ民族がこれに従うことがあったのも、ドイツ民族で一つにまとまる、というナショナリズムから。
ドイツ人主権国家体制につながったことが要因であると言えます。
ナショナリズムは、国民国家を作り上げるうえで、必要な要素といえるのですが、その反面、他への排他的な思想に結び付きやすい性質があることは注意しておく方がいいのかもしれません。
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ナショナリズムの反対語って
ナショナリズムの反対語をあえて言うならグローバリズムでしょうか。
比較的にいえば、ナショナリズムが内向きへの意識、自分たちの国家という認識なのに対して、グローバリズムは外向きへの意識、世界のヨーロッパの国の一つとしての国、ドイツ。
といった認識の違いが一番だと言えます。
ナショナリズムと愛国心の違い、概念に対する個人的な意見
ナショナリズムと愛国心の違いは、日本にいるとわかりにくいと思います。
日本はほぼ「日本民族」という単一の民族で構成されているからです。
アイヌ、琉球民族など所説はありますが、北海道に住んでいる人も沖縄に住んでいる人も自分を日本人だと認識しているはずです。
僕はドイツで生まれたけどユダヤ人だ、イギリスで生まれ育ってイギリスを離れたことはないけどジャマイカ人だ、といったことは他国ではよくあることです。
ナショナリズムは自分の民族を意識して、主義主張、権利を高めようとする運動、
愛国心は国単位での権利、実力を高めたいという運動だと思います。
例えばチベット族が中国から独立したいのはナショナリズムだし、アメリカ合衆国民(人種に関係なく)が戦時に国の為に命を掛けるのは愛国心からだと思います。
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ナショナリズムのいい点って?
ナショナリズムの良い点は同じ宗教や言葉、歴史と文化を共有する民族どうしで団結することで、自信をつけて行動できるし、自分たちの民族の強みを強調して世界で活躍できる事だと思います。
例えば、日本人が自分たちの勤勉さに自信をと誇りを持っていたからこそ、高度経済成長で工業生産力を高めたり、国際社会で技術を輸出したりして医療で貢献して日本人=日本民族の立場を高められたのだと思います。
それに民族として誇りをを持つことで、自分=日本人という根本の存在意義やアイデンティティを確立できるというメリットもあります。
それから民族意識は「安心感」をあたえる作用があるとも思います。
つまり自分が何民族なのかわからないと、自分は何者なんだろう、自分には生まれ持った価値がないのではと思い悩むかもしれませんが、少なくとも民族意識があればその最低限の立ち位置は得られます。
ナショナリズムの悪い点って?
ナショナリズムの悪い点はその裏返しで他の民族に対する否定に陥りがちなことです。
日本民族が優れているので、欧米人は大雑把だ、他の東アジア人は下品だという決めつけが生まれがちです。
他の民族との比較以外にも、同じ価値観の仲間同士で固まって他の価値観や思想を受け入れないことで、段々考えが古くなって時代の変化に取り残されて頑固になりがちなことも気を付ける必要があります。
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強みと弱みは所変われば真逆になる
例えば日本人の自己主張が弱い、はっきり物をいわないというのも同じ地域に住む同じ言葉を話す民族同士ではそれが和を生んでいたメリットがあっても、他の価値観と接する時には弱点となってしまうわけです。