4分で読める。冥王星プルートの歴史を簡潔にまとめてみた
冥王星プルートは1930年に発見された時から75年間、太陽系の9番目の惑星だと考えられていました。
太陽系は「水金地火木土天海」の8つですね。
ここに冥王星プルートが加わったのですが、
1930年以降、実は冥王星プルートに似た同じような惑星が他にも存在することがわかって全てを「太陽系」に含めることが出来るのかという疑問が上がりました。
冥王星プルートは太陽の周りを回る軌道にあるのですが、その軌道を他の小惑星や彗星、その他宇宙の塵、その他の小さな惑星とシェアしています。
「軌道をシェアしている」
これが他の8つの惑星「水金地火木土天海」と違う所で、IAU(International Astronomica Union)は2006年に冥王星プルートを主要な惑星の部類から外すことにしました。
スポンサーリンクのんびり屋の冥王星プルート
冥王星プルート大きさは地球の6分の1。
月よりも小さいですね(月の大きさは地球の1/4)
表面は3分の2が岩、3分の1は氷水だと言われています。
興味深いのは冥王星プルートのこの氷水の量は地球の海の量の3倍はあるだろうということです。面積がないので、かなり深い深い深ーい海ということですね。
冥王星プルートには薄い大気があって、そのほとんどが窒素(ナイトロジェンN)でほんの少し一酸化炭素とメタンで覆われています。
太陽系の8番目の惑星・海王星よりも遠いところにあるので、太陽の光はほとんど届かず、届いたとしても冥王星プルートの日中は地球の900分の1の明るさなのでほぼ真っ暗です。もちろん温度は低く平均気温はー230℃、極寒です。
そして太陽の周りを一周するのに248年という気の遠くなるような年月を必要とします。一日の長さは153時間、自転するのに6日と9時間かかります。水背の58日や近世の243日に比べたら早いですけど、のんびりと言えばのんびりですよね。
あと軌道が楕円なので、太陽の周りを一周する時、海王星ネプチューンの軌道内に20年くらいちょっとお邪魔するそうです。
冥王星プルートの衛星
また冥王星プルートには衛星が5つあって、新しいものは2012年に発見されたばかり。
その中でも一番近くて特徴的なものをカロンといいます。(発見した人が奥さんの名前Charleneシャァリーンから名付けたのでシャロンが正しいと思うのですが日本語ではカロンとなっています。)
あとの4つは
Nixニクス2005年
Hydraヒドラ2005年
Kerberosケルベロス2011年
Styxスティクス2012年
です。
一番ユニークな衛星カロンは天体力学の共通重心https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E5%BF%83
を持って同期回転していることから二重惑星というあだ名のようなのもがつけられました。大きさも質量も多少違うので「双子」とは言い切れず、でも重心を共有しているのは注目に値するので今の所二重惑星というあだ名がついているというわけです。
研究が進めば何かしらの定義がつけられるかもしれません。
冥王星プルートは数学的に予測して発見された
冥王星の前にある海王星ネプチューンは天王星ユラナスの軌道の乱れを研究している時に仮説を立てて、他の重力があるであろう予想範囲を検索した結果、見つかった惑星でした。1846年のことです。
観測からではなく、計算した範囲から検索することを「数学的予測」というそうです。
そして冥王星プルートも同じ方法で見つけられました。
海王星ネプチューンが見つけれれ研究された結果、天文学者は海王星ネプチューンの先にもう一つ惑星があるに違いないと考えたました。
そして1906年にアメリカ人のパーシバル・ローウェルは未知の惑星Xの探索を開始。しかし、未知の惑星Xを見つける前に彼はなくなってしまいました。
その後、同じアメリカ人のクライド・トンボ−さんという23歳の青年がパーシバル・ローウェルさん計画を引き継ぎ、ついに1930年冥王星プルートは発見されました。
25年という時間が掛かりました。
1930年イギリス人の11歳の女の子によって名前がつけられた
プルートというのはローマ神話に出てくる、黄泉の国の神の名前で、当時イギリスのオックスフォードに住んでいた11歳の女の子バニーシア・バーニーに提案されて名付けられました。
どういう経緯でそうなったかというと、
バニーシアさんにはおじいさんのお兄さんでヘンリーという大祖父さんがいて、すでに火星の衛星2つい名前をつけた経歴をもっていました。(大学院で科学を専攻していた方だったようです。)
このヘンリー大祖父さんが11歳のバニーシアにアメリカのクライド・トンボ−って人が海王星ネプチューンの向こうにもう一つ惑星を見つけたぞ、ってことを話すと、彼女はプルートって名前はどう?と提案したそう。
それをヘンリー大祖父さんはイギリスの友達ハーバード・ターナーさんという天文学者に提案し、そしてこのハーバードさんが、パーシバル・ローウェルさんの天文台に電報を打ち、発見したクライド・トンボ−は発案者、パーシバル・ローウェルのイニシャルから始まる Pluto が気に入って採用した、ということでした。
バニーシアさんはその後会計士になって、天文学に関わることはなかったようですが、2006年に冥王星プルートが「準惑星」に分類される議論がされている時はインタビューを受けたようです。その時彼女は86歳でした。
1992年、大量の惑星らしきものが見つかるカイパーベルト
冥王星プルートと似た代表的な惑星が4つあって、
「Caresケレス」
「Erisエリス」
「Haumeaハウメア」
「Makemakeマケマケ」
が上げられます
1992年以降の観測で、この4つ以外にも大量の、ほんとにものすごい量の「惑星」らしきものが冥王星プルートのまわりにあることが発見されました。
今の所は1000個ほどが見つかっていますが、天文学者達の間ではたぶん100万個以上はあるだろうと予想している人もいます。
火星と木星の間に「小惑星帯アステロイドベルト」という小惑星が集まった領域がありますが、それと似たようなものでこちらは「Kuiper Belt カイパー」と言います
でもその大きさは「小惑星帯アステロイドベルト」の200倍はあるとされている巨大な帯です。
先に挙げた冥王星プルートの近くに存在する4つの惑星の内「Erisエリス」は冥王星プルートほぼ同じ大きさで、
「10番目の太陽系惑星Erisエリス」
になりそうでしたが、冥王星プルートもErisエリスも惑星に成り得る3つの条件が満たされないと判断され、
「準惑星」というカテゴリーに収められました。
2015年にニューホライズンという探索機が’8年掛けて冥王星プルートのシステム領域に最接近しました。「氷の火山」とあだ名のつけられた謎の形成など興味深い情報が報告されています。
この「一風変わった準惑星・冥王星プルート」はこれからまだまだ多くの天文学者を魅了し続けるでしょう。