ピサの塔って建て直すとか考えなかったの?傾いたままでいい塔

ピサの塔は傾きながらも800年ほどあのピサの街に今もそびえたっています。
傾いてる建物は世界中あちこちにありますが、単体であんなに傾いてる建物はピサの塔くらいしかありません。
建設が2階に来た所で、すでに傾むいているのはわかっていたのですが、それでも頑固に建設は進められました。
スポンサーリンクまっすぐ建つはずだったのに。。
ピサの斜塔はピサ大聖堂の横に並ぶ鐘楼(しゅろう・ベル・タワー)として設計され、建設が始まりました。鐘は教会に来れない人に「お祈りの時間を知らせる」為に儲けられたのが最初の目的だったとされます。
今でも「崇拝の時間」、とあと冠婚葬祭の際にも鐘が鳴らされます。
1173年に建設が始まりましたが、一階部分が完成した時点ですでに土台となる基盤が沈んで斜めに傾いていました。
これは建物の素材や建設のミス設計ではなく、運悪く地盤の悪い場所を選んでしまった為だったのです。
地盤にはドロや砂、粘土が広がり主に大理石と石灰岩といった重ーい材料を支えるには適していなかったのです。
調べる技術がなかったのかもしれませんね。
イタリアのあらゆる場所でタワーは建てられていてあの時点でも、すでに何百年も存在しいる建物がたくさん有りますから、大丈夫だと思ったのかもしれません。
反対側の柱を短くして、傾きを補ってみる?
すでに一階部分が傾いていましたが、建設は進められます。彼らがやったことは傾いてない側の柱を短くして、逆に傾いてる側の柱を長くしてバランスを保とうとしたことでした。
これは地盤のゆるさという欠点が沈んだ部分だけで解消されていれば、もしかしたしたら通用したのかもしれませんが、
残念ながらピサの塔は更に傾いてしまいました。。。失敗です。
2階部分が出来上がったのは建設開始から5年後のことで、もうこの時点では補修するのはほぼ不可能な状態になっていました。
それから95年間以上放置プレイされます。
ピサという街はトスカーナ州にあるのですが(フィレンツェが州都市)その当時は地域が侵略されたり逆に攻撃に回ったりといろいろ騒がしい時代が続いていたようです。
というか当時の東ローマ帝国は年から年中どこかしらで争いをしていたのでお金がなかったんじゃないかと思います。
100年後。傾きが、、、何かおかしいぞ。逆?
紛争が耐えない中でもピサの斜塔建設は1272年入って再開されて、その頃には塔の地盤は割と落ち着き、塔を支えるられるまでにしっかりとしていました。
しかし、そこで関係者を驚かせたのは、ピサの塔が記録されていたのとは逆方向に傾いているということでした。でも建設は続きます。
そして7階部分までいった所で、また90年ほど放置プレイされます。
また戦争が理由で建設は停止されてしまったのです。
ピサの斜塔は8階までデザインされていたので残り1階。
7階の状態ですでに傾きがひどくなっていたので、建設を進めるにも無理があったのもあったかもしれません。
200年後。1372年、ついにピサの塔の出来上がり。
1300年代、ヨーロッパはルネッサンスの運動で盛り上がっていました。
ピサの斜塔は1360年頃にようやくまた工事が再開され、1372年に晴れてピサの斜塔はグランドオープンします。
実際の建設期間は約20年と言われていますが、開始から完成までにはその10倍の200年の歳月がかかりました。
ですが、よく考えてみると、
なんてことでしょう。
ピサは傾いた塔を建ててしまいました。
いいんですか??
塔は完成したものの、傾いていることに変わりはなく、止まることなくやっぱり傾き続けていました。
ですがそれから600年間、ピサ大聖堂の隣で堂々と?なんとか?踏ん張りそびえ立っています。
600年後。観光資源なので傾きはそのままでいい
ピサ市は1990年になって大規模な補修工事を開始しました。補修は10年間、その間ピサの斜塔は一時閉店。
「傾きを補修する」というよりは、「傾きを安定させる」ことを第一に考えた補修工事でした。真っ直ぐにするのは無理というのもありますが、ピサの斜塔は傾いてるのが特徴で、ピサ市は傾きをある意味、そのまま維持したかった。なぜかというと「ピサの斜塔」はピサ市の観光産業の主役だからです。
真っ直ぐにしてしまったら、ピサの塔はイタリアのどこにでもある普通の鐘楼(ベルタワー)になってしまいます。普通過ぎて魅力も3分の1くらいになってしまうかもしれません。
個人的には「ピサの大聖堂」はとても立派で、周りに建物がないのでむしろサンタ・マリア大聖堂より美しく佇んでいると思うのですが、ある意味脇役の「鐘楼・ベルタワー」にほとんどの魅力は奪われている感じですよね。
補修工事でやったことはまず、800トンものブロックを反対側の塔の土台に乗せて安定させました。7つあった鐘を外し、建物から取り出せるものは全て取り出してとにかく塔を重さを軽くして、釣り合いをなんとか均衡に保とうと試みたのです。

そして反っている側の地盤から少しずつ土や粘土などの土層を取り除き、傾きの角度を5.5度から1度縮めることに成功しました。
スポンサーリンクピサの斜塔は永遠に垂直にはならない
2001年の5月にピサの斜塔はリオープンしました。
土層を取り除いたのは大成功でその後もピサの斜塔は年々、自然に角度を縮めていき2008年にその動きが止まるまでにピークの時と比べて角度は1.5度まで回復したそうです。
今は3.9度くらいの傾きで収まっていて、あらゆるエンジニアリングが施されているのでこれから先最低でも300年は倒れる心配はない、とのことです。
本当に垂直にさせたいなら今可能なエンジニアリングをフルに使って出来そうなのですが、建設の時点で塔の柱といいますか、壁に1mの高さの違いがあるので、永遠に真っ直ぐになることはありません。
また
「ピサ大聖堂の横にあるピサの塔」ではなくて、
「傾いてるけど倒れないピサの斜塔」がピサのアイコンとして毎年5億人の観光者を訪れさせるのです。
傾いた巨大な塔は見るだけで結構スリルでした(笑)
参考:
https://www.towerofpisa.org/leaning-tower-of-pisa-facts/
https://www.mentalfloss.com/article/70395/13-straight-facts-about-leaning-tower-pisa