彼女たちの夜明け「愛」は贅沢なもの

Abigail and Tallie


今日もヴァネッサ・カービーのインタビューから生きた英語の勉強です。
このインタビューも「彼女たちの夜明け」のことについて話しています。ヴァネッサもキャサリンもほんといいこという。


この映画は全体を通してポエムっぽい(日本語でポエムと書くとなぜかコミックな響きになる。。)詩的な印象を受けます。ナレーションがそう感じさせるのかもしれません。


インタビューする人はまず、スクリプトは構成や背景設定が独特だと言って二人に初めて読んだ時はどんな感じだったかと聞いています。


それに対してキャサリンが、彼女たちの夜明けのような台本は滅多に来ない、"stand out like a sore thumb"だっていうんです。こんなイディオム初めて聞きました。とっても目立つ、って意味らしいです。


今まで読んできた台本の中でも最高のもので、キャサリンは撮影が終わった後でも魅了が静まらず、もう一度読み返したと言っています。

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キャサリンは別のインタビューで映画の撮影が終わった後は映画を見返すことは今はほとんどしなくなったと言ってました。制作が終わったあとは映画を見る人にバトンは渡されて、何かを感じたり発見したり、表現したり行動を起こすのは視聴者に委ねられている、そこはもう私には関係のない世界、とこんな感じのこと言ってました。次の作品の役へ切り替えるためにも、この姿勢は必要なのかもしれませんね。


ここでマリオン・コティヤールのインタビューを思い出しました。役者っていうのはある意味、その役に恋に落ちたような感覚になるらしく彼女がエディット・ピアフを演じた後、役からしばらく抜け出せずにいたそうです。


その経験をマリオンは「恥じてる」と表現したんです。なぜかというと役を演じることは「仕事」で、別の仕事の役に影響させてはいけない、でもエディット・ピアフは長いこと振り落とすことが出来なかったよう。役者って別人を演じるのですから、きちんとどこかで線を引いたり、忘れたりしなきゃいけないのでしょう。


ヴァネッサは彼女たちの夜明けのスクリプトには、とっても多くの感情が入ってる、繊細でほんとに詩的で、独特。純粋に2人の人間がじっくりゆっくりお互いを理解しようと話している、(あの時代の自由のない、動けない状況の)痛みのようなものから逃れる術を探そうとしてる、慰めとか、また親密さとかを認識しようとしている、二人ともお互いを開花させようとしてる、感じ。


二人のやり取りのほとんどが、彼女たちが初めて感じる深くてきれいな感覚で、それに感動させられたし私自身もちょっと痛みを覚えた。スクリプトを読んでそんな風に感じるのはいいサインで、役者としてたとえ一人しか観る人がいなくても、そこに命を吹き込ませたくなるもの。


ここで私の頭に残ったのは、この彼女たちの夜明けの時代設定は1856年なのですが、あの時代には「愛」でさ「贅沢」なものだと表現されていること。確かにどうだったのかもしれないと思いました。ほとんどが親が決めた見合い結婚だったり、限られた状況の中で(out of limited options)子孫を残す為に男性が女性を選ぶ、みたいな状況だったのかな。でもいろいろ考えてみると、自由はあの時代に比べたら計り知れないくらいあるけど、今でも「愛」って豪華なものかもと思えてきました。


ヴァネッサはこの後タリーっていう女性はいつも遥か彼方に何があるか知りたいと思っていたと思う、といいます。
あの時代だけじゃなくて全ての時代に制度や規則命令に疑問を投げかけた女性はいたはず、タリーはそういう女性を象徴してる気がする。タリーは「愛」の中から更に何かを求めていた過去の女性の一人の話、この映画のスクリプトはあの時代に、鎮圧されたり消された女性達の壮大な大きな意味のある寓話の一つのような感じ。

タリーは本当に彼女に幸せを感じさせてくれる人と一緒になりたかったはずだし、アビゲイルは創造的な能力を発揮できたかもしれない。
あの時代の女性たちとっては(自由な精神を持つことは)ある意味リスクだったはず、女性にとってあの時代、制度や規則を打ち破る思想や行動は時には致命的だったかもしれない。ここに来て今の私たちの時代は恵まれてる。


ヴァネッサは深いことをさらりと言います。


その後キャサリンもさらにいいこといいます。アビゲイルはタリーに恋に落ちて、想像の航海を始める。一度も海を見たことのないアビゲイルは嵐という言葉を本で読んで知り、彼女の言葉で彼女の方法で文字を紡んで想像で彼女の世界を広げていく、二人の女性は3マイルの世界から限界の先に辿り着こうと切望してる、ここにとても心を動かされる。


確かに。昔は生まれた場所から5キロくらいの範囲が人の移動範囲だったっとどこかで読んだ記憶があります。個人の物理的な世界は今と比べて本当に狭かったんですよね。

このインタビューから学んだ単語とフレーズ

junket game
things like this don’t come along very often
it stands out like a sore thumb
those are the ones
take a stab at 〜を試みる(you just want to take another stab)
it made me ache a little bit
we can try and animate that feeling a little bit
nightmarish 悪夢のような
monastic 修道的な、隠遁的な(monastic way of living)
throughout all of history through all the centuries
allegory of the story
nautical imagery 航海の比喩
shake a stick at 
snuffed out 鎮圧される

Posted by MIC